梅田 大澤 にて

 小生、チェーン店は基本的に行かない。また、商業施設とか地下街とか、家賃で苦しめられている店にも、基本的には行かない、高くて量が少なくて…。結局、営業時間だの消毒だのフェアーだのに縛りを掛けられて、儲かるのはディベロッパーとその親企業だけ。お金を捨てに行くような気がするからだ。空中庭園の花壇より、路地裏の、狭い道と家の間に申し訳なさそうにプランターから顔を出している花の方が好きだというのに似ている。

 しかし、大阪である。梅田の地下にも、頑張っている店がある。大澤もさの一つだ。店を入って左にカウンター。右手から奥にはテーブル席が配置されているが、基本的には大衆酒場。いろいろあります、通好みな肴が。この日も、鰹に鮪に、豆腐に焼き物と頼んで飲み進めた。10時まで注文を取ってくれるが、11時には閉店する。これは、地下街の悲しい所である。まあ、終電に間に合う健全な飲み方ができる、という風に肯定的に捉えよう。

 常連さんが平日にも土日にもたくさん入っている。若い人と飲んだため、いつもより本数が進んだ。結局2時間でビール6本。それにお酒も頂いた。きっちり、日付が変わってた。世の中、北鮮と米国の会談だの、尖閣ウイグルの問題よりも、加計学園だの森友文書だのと難癖をつけて、憲法改正を阻止したいのが見え見えな少数野党とマスコミの嫌きちが続いているが、しみじみ気の毒である。それに引き替え、気楽な自分である。

 因みに、キリンクラッシックラガー大瓶でした。

石橋 とり天 とき にて

 

 数年前にオープンした「とり天 とき」。以前は老夫婦の営む小さな蕎麦屋さんで、ごくまれに丼やらそばを頂いていたが、閉店された。その後に入ったのがこの店。初代の店長から数えて4代目は、30手前の利発な、酒好きの青年である。「群馬泉」やら、「黒牛」やら、存外(といっては失礼だが、とり天との組み合わせにしては…という意味である)名酒が多い。ここによる時は、豆腐にサラダを食べた後で、鶏のツクネを頂くのが一つのパターンだ。多分、アサヒの中瓶しかなかったお店であるが、あまりに小生がしつこく言うものだから、数本のキリンクラッシックラガーを備蓄してくれるようになった。

 ここは、阪大生の常連が多い。いろいろ難しい勉強をしている若い人たちの話を聞けるのも、たまには脳の刺激になって良い。授業料の積りで数本若い人にビールを置いて行くこともある。テーブル席二つにカウンター4席の小さな店であるが、居心地は良い。人との近さが程よい酒屋である。とり天の持ち帰りも可能だ。

 最近、丸亀の「骨付き鳥」やら宮崎の地鶏やら、いろいろと地方の名物で都市部に店を構えることが多くなった。チェーン店の画一化されたものに飽き足らなくなった御仁には、こういったニッチな店を渡り歩くのも悪くない。石橋には、富山県の魚を振る舞う「ご馳走攻め 風の盆」さん、香川県出身の大将がやっている「骨付き鳥 またたび」さんなど、本格的な店がいくつもある。これも阪大の教職員等を始め、味の分かるお客があってこその事かも知れない。

 ここには、とり天のバリエーションとして、「地ソース」を持参することがある。この日は静岡県浜松市の逸品「トリイソース」を持参した。この出しの効いたウスターソースは全国探してもなかなかあるものではない。

 

 もちろん、キリンクラッシックラガー大瓶 でした。

 

石橋 とり竹 本店 にて

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 連休期間が終わり、休みを取っていた「連休のお得意様」たちにも、日常が戻ったようである。実は、連休に働いた人より、連休に「休む」というものとサービスにお金を落とした人たちの方が、はるかに疲れているのではないか、そんな事を思いながら、普段より多くの車であふれる国道でハンドルを握っていた。

 小生、自動車通勤である。最近は、久しぶりに手に入れたバイクで通勤することも多い。ピンクナンバーーの原付二種の中には、走行中の自動車の列を縫うようにして走り去るものも多いが、そういうことはしない。信号や渋滞で詰まっている時だけやんわりと車を抜かせてもらうのだが、それでも通勤時間は約半分になる。以前職場にいた若手が茨木から20分等と豪語していたのを思い出して、そういう運転なら数分で着くのだろう、と思ってもみるが、命を粗末にする積りはない。

 さて、早めに仕事を切り上げて、久しぶりに阪急石橋の「とり竹」の本店に行く。かつては本店に、寿司の「安兵衛」、とり竹PartⅡ、PartⅢ、南蛮亭と数店舗を展開していたが、最近は南蛮亭を暖簾分けしたらしく、本店、安兵衛、PartⅡのみの営業である。石橋の良いところは、地元密着。阪大生と教職員だけでも数万人になる学生街であるが、箕面、池田、豊中の住宅地にあり、風俗関係の店もないので、落ち着いて飲める。また、チェーン店が少ない事も高評価だ。

 とり竹本店は安兵衛の左わきの階段を上がった二階にある。カウンター7席程度と小上がり4人掛け座卓(掘りごたつの如く足は延ばせる)が5つ程。三階は宴会場だ。この店の良い所は、下の寿司屋からも和食、寿司を随時頼める、鯨料理がある、そしてやっぱり大瓶だ。料理のバリエーションも広い。流石に数十年やっているだけの事はある。大将(「なおちゃん」と地元の人は呼んでいるらしい)も気さくである。

 この日も鯨に若竹煮、鰹のタタキ、鉢物一つで大瓶4本も飲んでしまった。最後に奈良の「春鹿」の純米を1合。

 「階段気ぃ付けて下さいよ」と声掛けされながら、気分良く家路に付いた。

因みにここは「キリンラガー大瓶」でした。

 注 下の「安兵衛」は「サントリー モルツ大瓶」です。

 

難波 赤垣屋本店 にて

バーベキューと大衆酒場

 

 連休と言っても、有難い事にとびとびに仕事はある。そんな日の朝、最近通っているバーの常連N君からバーベキューのお誘いを受けた。関西の某有名公立大から関西の超が付くほど有名な大学の大学院を修了した理系の好青年である。日も暮れようとする時間から、大阪城公園のバーベキューエリアに集まる。

 昔の彼女と良く散歩した公園は、特に駅周辺の施設整備が進み、「餃子フェス」なるイベントもあって大変な盛況。有料のバーベキューエリアは、ごみの回収もしてくれて、無秩序にゴミを放置して行く不届き者の多い昨今、正解だと思う。

 普段話さない常連さんとも杯の合間にとつとつ話す。当たり前の話だが、色んな仕事にいろんな人生があるものだ。貸し出されるランタンでは食材の焼け具合が見え辛い、そう思って用意していた携帯用のLED管が役に立った。その明りに照らされている一座の人たちの顔を、箸を進めるのも暫し忘れて眺めていた。

 「ちゃんと食べてますか。」と良い具合に焼けた食材を運んで来てくれる人もいて、和やかに3時間が過ぎた。ほど良く酔いが回った一行は余勢をかって件のバーに雪崩れ込む。先に店内にいた数人の人たちも、10人もの酔客の突然の襲来には面喰っていたようであるが、そこは酔って怖いもの知らずと化した者の強み。直ぐに打ち解けて、マスターを巻き込んでの宴の輪が出来上がった。

 終電で戻る。久しくしない二度寝をしてしまい、昼前に起きる。いつものように神棚の水を換えて、祝詞を上げて、仏壇にお灯明とお線香を上げて、昼の準備をする。昼からは若い人たちと道場で汗をかいた。

 すっかり酔いも抜けたところで、Y君との以前からの約束を果たしに難波へ。彼は関東の某国立大学の学生で、中古の文学や文化を研究しているという。このたび関西には雅楽を聞きにやってきたという御仁である。そんな彼が大阪の場末の飲み屋を体験したいと言う話であったので、基本の赤垣屋の本店に。流石に安い。大瓶のビール5本に純米酒を2合、11品頼んで7300円でおつりが来た。チェーン店だらけの昨今だが、こういう、手作りの酒場が嬉しいものである。関東での酒場デビューの話など聞きながら2時間ほど飲んで別れた。

 またまた、余勢をかって昨日に続いて例のバーへ。満席であった。連休に何を求めてかくも人が集まっているのか、その答えは、酔いに任せて足繁く通う自分の胸中に既にありそうな気がしている。

 因みに、キリン一番搾り大瓶 でした。

野田阪神 中華料理 信さん にて

連休に思ったこと

 

 久しぶりに市内を歩いて思った。「連休期間にホンマに休めている人ってどれだけいてはんねやろ。」

 テレビ画面に映し出される連休の光景は、無数の働く人たちによって描き出されている。帰省客で一杯のホームで指さし確認している係員に、アトラクションに子供たちを誘導しているテーマパークのクルーに、サービスエリアで膨大な利用者を相手にレジ打ちしている売店の人たち…。「仕事を離れる」という事が休みという事なら、連休は普段より忙しく働いている無数の人たちと、その人生の一瞬を撮りに駆け回っているこれまた忙しい報道関係者の時間と、休めている(と思っている)人たちの時間との交換が生み出している現象の、片面からの見方に過ぎないかも知れない。

 そんな事を考えながら、電車に乗り、野田阪神の商店街を巡る。ここにも、働いている人たちの時間が流れていた。今では少なくなった果物屋さんやらお茶屋さんやら陶器店やらを見て回る。子供の頃に母親に手を引かれながら背丈と同じ位置に見た時とは違い、籠に並んだバナナや棚のお魚や豆腐は、今は視線のずっと下にあるけれど。お客の数は随分減っても、往時の商店街の賑わいを知る世代にとってみれば、店先のお商売人さんの向こうに、人であふれ返っていた光景を重ね合わせる事は容易い。

 数本ある商店街の路地横に「中華料理 信さん」という店を見つける。まだ午後の4時過ぎだ。職人さんが二人と配膳を手伝っている女性との3人で、晩の仕込であろう、実に無駄なく仕事が進んでいる。店内には常連と思しき老紳士と私。暫時あって数人来店された。平日の食事時でもないのに、お客が途切れることはない。段取りの手を止めてしまう様で少し申し訳ない気持ちもどこ吹く風、美味な餃子を2人前と、これまた激しく美味な焼売を頂きながら、大瓶ビールを3本も空けてしまった。

 粛々と仕事をこなす町の中華料理屋さんの仕事ぶりに、休ませてもらっている有難さを実感した。因みに、キリン一番搾り大瓶でした。