野田阪神 中華料理 信さん にて

連休に思ったこと

 

 久しぶりに市内を歩いて思った。「連休期間にホンマに休めている人ってどれだけいてはんねやろ。」

 テレビ画面に映し出される連休の光景は、無数の働く人たちによって描き出されている。帰省客で一杯のホームで指さし確認している係員に、アトラクションに子供たちを誘導しているテーマパークのクルーに、サービスエリアで膨大な利用者を相手にレジ打ちしている売店の人たち…。「仕事を離れる」という事が休みという事なら、連休は普段より忙しく働いている無数の人たちと、その人生の一瞬を撮りに駆け回っているこれまた忙しい報道関係者の時間と、休めている(と思っている)人たちの時間との交換が生み出している現象の、片面からの見方に過ぎないかも知れない。

 そんな事を考えながら、電車に乗り、野田阪神の商店街を巡る。ここにも、働いている人たちの時間が流れていた。今では少なくなった果物屋さんやらお茶屋さんやら陶器店やらを見て回る。子供の頃に母親に手を引かれながら背丈と同じ位置に見た時とは違い、籠に並んだバナナや棚のお魚や豆腐は、今は視線のずっと下にあるけれど。お客の数は随分減っても、往時の商店街の賑わいを知る世代にとってみれば、店先のお商売人さんの向こうに、人であふれ返っていた光景を重ね合わせる事は容易い。

 数本ある商店街の路地横に「中華料理 信さん」という店を見つける。まだ午後の4時過ぎだ。職人さんが二人と配膳を手伝っている女性との3人で、晩の仕込であろう、実に無駄なく仕事が進んでいる。店内には常連と思しき老紳士と私。暫時あって数人来店された。平日の食事時でもないのに、お客が途切れることはない。段取りの手を止めてしまう様で少し申し訳ない気持ちもどこ吹く風、美味な餃子を2人前と、これまた激しく美味な焼売を頂きながら、大瓶ビールを3本も空けてしまった。

 粛々と仕事をこなす町の中華料理屋さんの仕事ぶりに、休ませてもらっている有難さを実感した。因みに、キリン一番搾り大瓶でした。