難波 赤垣屋本店 にて

バーベキューと大衆酒場

 

 連休と言っても、有難い事にとびとびに仕事はある。そんな日の朝、最近通っているバーの常連N君からバーベキューのお誘いを受けた。関西の某有名公立大から関西の超が付くほど有名な大学の大学院を修了した理系の好青年である。日も暮れようとする時間から、大阪城公園のバーベキューエリアに集まる。

 昔の彼女と良く散歩した公園は、特に駅周辺の施設整備が進み、「餃子フェス」なるイベントもあって大変な盛況。有料のバーベキューエリアは、ごみの回収もしてくれて、無秩序にゴミを放置して行く不届き者の多い昨今、正解だと思う。

 普段話さない常連さんとも杯の合間にとつとつ話す。当たり前の話だが、色んな仕事にいろんな人生があるものだ。貸し出されるランタンでは食材の焼け具合が見え辛い、そう思って用意していた携帯用のLED管が役に立った。その明りに照らされている一座の人たちの顔を、箸を進めるのも暫し忘れて眺めていた。

 「ちゃんと食べてますか。」と良い具合に焼けた食材を運んで来てくれる人もいて、和やかに3時間が過ぎた。ほど良く酔いが回った一行は余勢をかって件のバーに雪崩れ込む。先に店内にいた数人の人たちも、10人もの酔客の突然の襲来には面喰っていたようであるが、そこは酔って怖いもの知らずと化した者の強み。直ぐに打ち解けて、マスターを巻き込んでの宴の輪が出来上がった。

 終電で戻る。久しくしない二度寝をしてしまい、昼前に起きる。いつものように神棚の水を換えて、祝詞を上げて、仏壇にお灯明とお線香を上げて、昼の準備をする。昼からは若い人たちと道場で汗をかいた。

 すっかり酔いも抜けたところで、Y君との以前からの約束を果たしに難波へ。彼は関東の某国立大学の学生で、中古の文学や文化を研究しているという。このたび関西には雅楽を聞きにやってきたという御仁である。そんな彼が大阪の場末の飲み屋を体験したいと言う話であったので、基本の赤垣屋の本店に。流石に安い。大瓶のビール5本に純米酒を2合、11品頼んで7300円でおつりが来た。チェーン店だらけの昨今だが、こういう、手作りの酒場が嬉しいものである。関東での酒場デビューの話など聞きながら2時間ほど飲んで別れた。

 またまた、余勢をかって昨日に続いて例のバーへ。満席であった。連休に何を求めてかくも人が集まっているのか、その答えは、酔いに任せて足繁く通う自分の胸中に既にありそうな気がしている。

 因みに、キリン一番搾り大瓶 でした。